2011年4月8日金曜日

日本はなぜ「婚外出生率」が異常に低いのか・国の未成熟度を示すあるデータ

「婚外出生率」という言葉を目や耳にしたことはありますか?


あまり耳慣れない言葉だが、「婚外」つまり未婚のシングルマザーによって出産された子供の数の全出産数に対する割合のことである。


実は最近、水無田気流著「無頼化する女たち」という本を読んでいて、その中で著者が日本の「婚外出生率」が諸外国と比べて異常に低いことに触れおり、

こうした問題をなおざりにしている「わが国の文化と福祉の未熟度」について批判的に書いていた。


著者が指摘したその事実に関心が湧き今回のブログのテーマとした訳である。


日本ではこうした子供のことを非嫡出子(法律用語)などととんでもなく古めかしい言葉で言い表しているようだが、一般的にこの婚外出生の率は先進国で高く開発途上国では低いとされている。


ではまず次のデータを見ていただきたい。


これは先進国を主体とした世界の国々の婚外出生率を挙げたものである。

データ(1)国別婚外出生率


スウェーデン 55.3%、
デンマーク  44.6、
フランス   42.6、
英国     39.5、
米国     33.2、
アイルランド 31.8、
カナダ    28.3、
オランダ   24.9、
ドイツ    23.4、
スペイン   17.0、
イタリア    9.6、
日本      1.7%、


このデータを目にして驚くべきことは他の国々に比べた日本の数値の異常とも言える低さなのである。


ご覧になってわかるとおり、他の多くの国々ではすべてが二桁でそれらの中には50%前後に迫っている国も珍しくない。


そうした中でわが国だけが著しく低くその数値はわずか2%弱なのである。


具体的にその数字を眺めてみると2003(平成15)年の出生数1,123,610人のうち、98.07%は嫡出子(法律上の婚姻をした夫婦間に出生した子)であり、非嫡出子は21,634人と、全出生数の1.93%にすぎない。


いったいこれは何を物語っているのであろうか。


では次に国別の出生率ランキングを見てみよう。


データ(2)国別出生率

アメリカ     2.04、
フランス     1.89、
デンマーク    1.76、
スウェーデン   1.71、
イタリア     1.29、
日本       1.29


ここでもまた日本は最下位だが、ご覧のように婚外子の少ないイタリアと日本は少子化が進んでいることもわかるのである。


もっともイタリアは少ないと言っても婚外子の率は日本の5倍以上もあるのだ。

さて話を核心に戻そう。


以前毎日新聞の社説に次のような記事が載ったことがある。


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スウェーデンでは生まれてくる赤ちゃんの5割、フランスでは40%が婚外子だが、日本は2%弱だ。法定相続分が嫡出子の半分になるなど社会的な差別があるからだ。結婚の形はとらないが子供がほしい。そういう男女を支援するためにも、婚外子の差別を解消すべきだ。
(毎日新聞05年4月20日社説の一部抜粋
 論説委員 稲葉康生)

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非嫡出子などという古めかし法律用語も使われているが、つまり婚外出生児のことである。


上のようなことがもし婚外子を減らしている大きな原因だとすれば一刻も早く是正しなければならない。


この他にも要員はたくさんあり、すぐに欧米並みの高い水準まで持っていくことは困難だろうが、何とか婚外子を守る社会環境を少しでも良くしていき、わが国がこの面でもより成熟した国家へと変
身をはかっていくことを心より願う次第である。


インターネット「未婚の母をあたたかく迎える社会を」参照

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