2011年4月10日日曜日

日本とはこんなに違う!・世界書店事情(その1)



ドイツ書籍業学校で授業を受ける生徒たち
  いま日本国内の書店といえばほとんどの都市で大型書店が中小の書店を飲み込んでしまい私の住む姫路市では

駅前のメイン商店街でさえ以前は7軒もあった書店が進出してきた大型店の影響をもろに受けそれらすべてが消滅してしまうという誠に酷い状態になっている。

これは何も私の市だけでなく、こうした状態はいま日本全国の都市に及んでいるのである。

さて国内のこうした状態はさておき、外国での書店の事情はどういうものなのであろうか。

やはりあちらでも同じように大型化が進んでいるのであろうか。

以下最近読んだ「世界の書店をたずねて」という本から抜粋した海外の書店について日本と違った珍しい点などをご紹介することにしよう。

ドイツ書籍業学校

さてドイツといえば活版印刷術を発明したグーテンベルグの生まれた国である。

そのせいもあってか、なかなかユニークな出版文化が育っている国のようである。

その最たるものが「ドイツ書籍業学校」という書籍業(書店)を営む人のための専門学校の存在ではないだろうか。

その学校はフランクフルトにある。

ここを出たマイスターの資格を得た者だけが書籍・書店業に携わることができるのである。

そうした専門教育を受けた人々によって経営されていることもあって、日本の書店の返本率が38.5%なのに対し、ドイツは5〜10%程度なのだそうである。

その理由のひとつが中世のギルドの伝統を受け継いだ「書籍業学校」を業界団体の書籍業組合が設立し、短期研修を含めて年間延べ1000人が学んでおり、ここでの教育により、読者の要望や知識欲を汲み取って、「本を選ぶ能力」が備わった出版人が育っていることが返品率の低い理由の一つになっているのだという。

これは返品率が異常に多い日本の書籍業界にとって羨ましい話で、大いに参考にしたい点ではないだろうか。

パリの書店では入店時に持ち物チェックがある

ではドイツに替わってフランスの書店事情はどうなのだろうか。

万国共通の書店の悩みといえばそれは万引き対策であるらしいのだが、パリの書店ではなんと入店時に持ち物チェックがあるという。

まるで学校の持ち物検査のようだが、これが一定の効果を上げているという。

日本だとさすがにここまでやっているところはないようだが、最近では「万引き防止ゲート」なる設備を採用するところが増えているらしい。

なおパリには日本のジュンク堂が進出していてパリ在住の日本人の心強いみかたになっている。

買った本にブックカバーをつけてくれるのは日本だけ

またフランスでもドイツでも同じだが、購入した本にブックカバーをかけてくれるようなサービスなどまったくなく、どうやらこれだけは日本の専売特許らしい。

また最近では日本の書店でも多くで設置されている椅子のついた読書コーナーだが、これが海外では日本に比べてうんと充実しており椅子にしても日本のような主に木製のベンチではなく、すわり心地のいいソファ系の椅子が多いそうである。

日本のようなブックカバーのサービスなどにお金をかけず、多分こうし方面に投資を回しているのであろう。

本日はドイツ、フランスの事情のみにとどめておくこととし、アメリカをはじめ他の国々については次回に譲ることにする。

参考文献「世界の書店をたずねて」能勢仁著(郁文塾)

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