2011年5月19日木曜日

震災避難所住民とエコノミークラス症候群

エコノミークラス症候群というイヤな病名・いったい誰が名前をつけたのか

この病名については前々から聞いたことはある。

でもこれまではあまり気にしたことはなかった。

しかし今回の東北大震災で避難所に滞在することを余儀なくされている人々の間にこの病気が広がっていると聞き、次第に関心が募ってきた。

症状として「窮屈な姿勢を保つことで体に血の塊ができる」と言われているからである。

それにまず気になるのがこの「エコノミークラス症候群」という病名である。

これではまるで飛行機のエコノミークラスを悪者扱いしているようではないか。


狭い場所は飛行機のエコノミークラスだけではない

エコノミークラスとは「狭い場所(シート)」のことを指した代名詞として使っているのだろうが、狭い場所と言えばなにも飛行機のエコノミークラスだけではないではないか。

外国に多い長距離列車や国内の長距離バス、あるいは長い船旅の2等船室もそうだろうし、それにあの宇宙飛行士はどうなのであろうか。

報道写真などで見れば、ずいぶん窮屈そうなところに押し込められているようでもあるのだが。

第一エコノミークラスとはいうが、それがファーストクラスと広さの面でどれくらい違いがあるというのであろうか。

決して2倍も3倍も違うわけではないであろう。

それなのにエコノミークラスだけ強調したまるで悪者扱いの病名をつけるのはどうなのであろうか。

どうもこれは安易なこじつけの命名である観が否めない。

この病気の症状は

このエコノミークラス症候群の症状は、航空機旅行中・旅行後に発生した深部静脈血栓症、あるいはその血栓によって引き起こされた急性肺動脈血栓塞栓症であるといわれている。

血栓形成に長時間の座位による静脈血のうっ滞・血液粘度の上昇が関与していると考えられているのである。

だがこの「エコノミークラス症候群」の病名はいろいろ誤解を与えやすい。

狭いエコノミークラスが危険で、ビジネスクラスやファーストクラスは安全のように聞こえるが、結局は長時間同じ姿勢でいる飛行機の乗客などは、同じようなリスクを抱えているのである。

しかも、ファーストクラスはおろか、もっと幅の広くもっと平で自由のきくベッドの上でも似た病気が起きてしまうのである。

特に下肢の骨折の手術などで長時間動かない患者や、高齢者で術後に寝たきりになりがちな人など起こす肺塞栓がそれであるという。

その後病名は変更されているはずである

こういうふうにいろいろと誤解を招きやすいこの病名だが、世間の批判を受けてこの病名はその後変更されているとネットの情報などには書かれている。

そして変更後の病名は「ロングフライト血栓症」になっているはずなのである。

一般的に6時間を超える長時間のフライトに伴う病気をさしてこの病名にするというのである。

それなのにマスコミはなぜ依然として「エコノミークラス症候群」という古い病名に固執しているのであろうか。どうも解せない。

なにはともあれ「エコノミークラス症候群」といういやな病名だけはなくなったと聞き、ホッとしている。

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