2011年5月31日火曜日

ある外国人バイヤーのつぶやき・「富士山をはっきり見たことが一度もない」

ホテルマン時代に商用でよく日本にやってくるあるアメリカ人バイヤーが、冗談とも本気ともつかない口調で私に話したことがある。

「これまで10回ぐらい東京、大阪間を新幹線で往復したけど、まだ1度も富士山をはっきり見たことがない。富士山って本当に日本にあるの?」

私は思いがけないこの質問に対して答えに窮したが、かろうじてこうこたえた。

「静岡県ってところにちゃんとありますよ、この次は見れるんじゃないですか」

後でそのことについて考えてみたのだが、彼がああ言うのももっともだと思えた。

一般に言われているところによれば、富士山が頂上まではっきり見えるのは10日に1度ぐらいだそうである。

ということは1年に40日弱でひと月の日数より少し多いだけなのだ。

だとすれば残りのあと300日以上は富士山は見えないということになる。

したがってアメリカ人バイヤー氏が言うこともさして不思議なことではないのである。

往復で10回ぐらい行き来したとはいえ確率からすればそれはじゅうぶん有り得ることだからである。

また、商用で新幹線をしょっちゅう利用している知り合いのT氏もこう言っていた。

「僕も1年に何度も乗ってるが、その外人さんと同じでこれまでほとんどはっきり見えたことがない。
かろうじて見えるのも10回に一回ぐらいの割じゃないかな、まあ冬場の晴れた日ははっきり見えるけどね」

また別の知人もこう言っていた。

「私は日頃の行いが悪いのか、この区間を新幹線に乗って富士山を見たことがほとんどない。いつも雲の中にかくれてばかりいるんだ」

考えてみればJR東海道線を行き来する旅行者にとって富士山を見ることは大きな楽しみのひとつなのである。

したがって何度も続いて見ることが出来ないということは大きな失望なのではないだろうか。

特にこれが期待の大きい外国人であればなおさらのことであろう。

ではこうしたアイデアはどうだろう。

JRは静岡県を新幹線が通過するとき電光パネルでそれを知らせるサービスをしているが、それに加えて富士山が見えない日は大きなスクリーンに富士山の美しい画像を映して見せてはいかがだろうか。

そうすれば、旅人にとっては一縷の慰めになるのではなかろうか。

特にはるばる日本を訪れた外国人団体客などに対してはそれくらいのサービスをしてもいいのではなかろうか。

日本の観光PRのためにも・・・。

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