2011年6月13日月曜日

いよいよ「2011節電の夏」へ突入・ところで日本の電気料金は高いのか、安いのか?


世界電気料金事情

東日本大震災の津波による福島第一原発事故により、日本の電気供給システムに関する関心が高まっている。

浜岡原発の停止の影響もあり、化石燃料への依存が高まり、電気料金の値上げが実施される公算が高まっていることも関心の高まりの一員となっている。

また、日本は欧米のように「送発電分離」が進んでいないので電気料金が高いという論調も大きくなっている。

一方、資源エネルギー庁のエネルギー白書などを見ると「日本の電気料金は特に欧州諸国との対比では、家庭用・産業用ともに同等あるいは低水準となっている。

日本の電気料金は、いったい、高いのか安いのか

図では、OECD/IEAのエネルギー価格年報から、ドル換算の毎年の電気料金価格の推移を主要国について掲げている。

単年度の比較は、その時に状況に影響され、また一般に、論者は自分の都合の良い年次をとる傾向があるので、これに対し、ここではやや長い期間をとり客観性を確保できるように努めた。

なお、ドル換算なので当然各国通貨の為替レートによって影響を受けていることを踏まえて判断する必要がある。

図の推移から、1990年代には、日本の電気料金は産業用も家庭用も、確かにかなり高かったように見える。

日本の電気料金が高いというイメージにはこの頃の刷り込みが影響していると思われる。
 
ところが、1995年に電力会社に卸電力を供給する発電事業者の参入が可能になり、2000年に大需要家に対して、特定規模電気事業者(PPS)による小売が認められるなど、電力自由化が進展し、1995年以降の円高の是正の進展もあって電力料金はドル換算で低下傾向となった。

一方、欧米、特にドイツ、イタリア、英国では、2000年頃から石油価格の上昇傾向を受けて電力料金も上昇した。

この2つの傾向が合わさって、電力料金の内外価格差は大きく縮小した。

欧米で電気料金が相対的に高くなっているのには、日本と比べ、環境関連の税金が高くなっていることも影響している可能性がある。
 
ところが、2008年以降は、円高の進展もあって、再度、日本の電力料金は、相対的に高くなっている。

これはおどろき!イタリア人の徹底した節電ぶり

ドイツやイタリアの電気料金については、ヨーロッパで暮らしている日本人のブログなどで、目が飛び出るほどの高さが話題として取り上げられている。こんな記事も見られる。

「イタリア人の節電っぷりにはこちらへ来た当初は驚きました。たとえば、ほんの数日間家を空けるだけでも、私の知るほとんどのイタリア人たちは冷蔵庫を空にし電気のブレ−カ−を落としてから出かけます。

人によっては冷蔵庫以外のコンセントを全部抜いてから寝る人もいます。」

『イタリアの電気代は高いです』チーム桜子 渡辺直子)そうした話題の中では、イタリアは原発がないから電力が不足し、電力の輸入元のフランスに足下を見られる。

また発電用の輸入化石燃料の高騰が電気料金にもろに跳ね返る。などとされることが多い。

ドイツでは産業用はそれほど高くないが、家庭用はイタリアと同様に高い。これについては、風力などクリーンエネルギーの買い取り制度の影響がある点や電力会社の独占的な価格形成が指摘される。
 
原発依存度の高いフランスでは電力料金が相対的に安くなっているが、原発依存度がフランスより低い米国や韓国の方が、一層、電気料金は安くなっており、原発依存度の要因だけを強調するのは間違いだろう。


インターネット「社会実情データ図録」より

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