2011年6月2日木曜日

学校秩序に関するユニークなデータ・日本は世界一学校秩序が保たれている国



まず上のグラフをみていただきたい。非常に珍しいデータであるが学校秩序に関する国際比較を示すものである。

学級崩壊、授業崩壊などが世界中の国々で問題となっているが、日本ではそういう状況がどの程度進んでいるのであろうか。

それを示す41カ国の国際比較の調査結果では、日本の学校は学級秩序が世界の中で最も保たれている国とされている。

データを見ると、一つ目の「生徒が教師の言うことを聞いていない」かどうか、また二つ目の「生徒が静かになるまで教師は長く待たなければならない」かどうか、の2点について日本の子ども達の9割以上が、「そんなことはない」というプラスの評価を得ており、この比率は、両方ともなんと世界一なのである。

日本の教師は世界で一番ラクなのか?

と言うことは日本の学校における学級崩壊は世界の中でも最も少ないのだ。

したがって日本の教師は世界の中ではもっとも楽な環境で仕事をしているということにもなる。

しかしその反面、日本の子ども達はおとなしすぎるのではないだろうかと考えることもできる。

だとすれば決して喜んでばかりいられないのだが。

では図に掲げた41カ国の国々について眺めて見ることにしよう。

途上国や少し前まで途上国だった国で秩序が保たれていることが目立っている。

生徒が先生の言うことを聞いているかに関する第1設問では、日本に次いで、タイ、韓国、アルバニア、ルーマニア、香港が高く、その後に、やっと先進国のドイツが顔を出す。

先進国は概して低いが、米国、あるいは英国はまだ良い方であり、フランス、イタリアはずっとランクが低い。また、学力ランキングでトップ集団のフィンランドは、下から3番目である。

フィンランドでは先生の言うことを聞いていない生徒が多いのに、学力の成績は良いと言うわけである。

最低ランクはギリシャである。ギリシャでは先生の言うことを生徒が聞いていない割合が45%と非常に高い。
 

2000年調査から2009年調査への変化を見るとイタリア、アルゼンチンに次いで下から3番目だった韓国は、大きく順位を上昇させ上から第3位になっているのが目立つ。

一般傾向としては上位国では上方シフト、下位国では下方シフトが目立つ。

つまりこの設問は変動が激しい。

生徒が静かになるのの時間がかかるかに関する第2設問のランキングはほぼ第1設問と同様の傾向にある。日本を除く先進国では生徒はうるさいのが通例である。

フィンランドも下から3位である点が同じである。こちらの最下位はアルゼンチンである。


2000年からの変化は、全体に上方シフトが見られる。すなわち第1設問と異なり順位の変動は大きくない。2000年当時最下位と下から2番目だったインドネシアとイタリアで水準が大きく上昇し、改善が進んでいるのが目立っている。

取り上げた41カ国を第1設問の高い順に掲げると、日本、タイ、韓国、アルバニア、ルーマニア、香港、ドイツ、インドネシア、ペルー、ロシア、メキシコ、ポルトガル、イスラエル、ラトビア、米国、ブラジル、スウェーデン、アイスランド、チリ、スペイン、英国、スイス、ベルギー、デンマーク、リヒテンシュタイン、カナダ、ハンガリー、ブルガリア、オランダ、オーストラリア、ニュージーランド、ポーランド、アルゼンチン、ノルウェー、イタリア、フランス、アイルランド、チェコ、フィンランド、ルクセンブルク、ギリシャである。

(2011年4月11日収録)

インターネット「社会実情データ図録」より

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