2012年1月25日水曜日

米紙ウォールストリートジャーナルが伝える ・ マラソンレースが心臓に与える危険性—中年男性は要注意 !


マラソンブーム再来とかで、わが国でも自治体などが主催する大会は年を経るごとに多くなっていて、参加者も増えるいっぽうである。


さて、一般的に健康によいと言われるランニングであるが、それもマラソンのような長距離となると、そうとばかりは言えないのではないだろうか。


米紙ウォールストリートジャーナル(日本版)はマラソンの心臓に与える危険性について、最近次のように伝えている。

以下はその記事の抜粋である。
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過去数年にフルマラソンやハーフマラソンのレース中に死亡するケースが相次いで報告されており、長距離のランニング、少なくとも長距離レースが心臓に与える危険性に関して懸念が高まっている。

米医学誌『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に掲載された論文によると、過去10年以上における米国のフルおよびハーフマラソン競技に参加した1090万人のうち、心臓から体全体に血液が送られなくなる「心停止」の状態に陥ったケースは59件にとどまることが明らかになった。

もちろんレース中に実際に死亡した42人の遺族にとっては、この調査結果は何の慰めにもならない。では、そうした不幸な事態は、どのような人に起こり得るのか。

心停止に陥った59人のうちの31人の完全な医療記録を入手して調査したところ、死亡の原因のほとんどは、心臓の左心室が肥大化する「肥大型心筋症」であることが明らかになった。

また、死を免れた人に最も共通していたのが潜在的な冠動脈疾患を抱えていたことだった。
冠動脈疾患とは、加齢などのリスク要因により動脈が狭窄(きょうさく:細くなる)する病気。

研究者によると、レースで速く走ろうとすると、心臓がより多くの酸素を要求するため、血管が細くなっていた場合、血液を送り切れなくなり、心停止を引き起こす可能性がある。

これは以外な結果だ、と論文の第一著者で、米マサチューセッツ州ボストンのマサチューセッツ総合病院で心血管治療プログラムを指揮するアーロン・バギッシュ氏は話す。

これまで運動中の急性の心疾患は、動脈プラーク(動脈の内壁に付着した脂肪性沈着物)の破裂が原因と考えられていたが、今回の調査データではそれが当てはまらなかった。

だが幸いなことに、プラークの破裂はストレス検査や心臓超音波検査(心エコー)では予知できないのに対して、過去に見つけられていなかった肥大型心筋症の人や、心停止で一命を取り留めた人に検知されたのと同じ問題を抱えている人を、さまざまな検査で特定することは可能だ、とバギッシュ氏は話す。

当面の対策としては、マラソンのトレーニングプログラムを始める前に、まず医師に相談することだ。そもそも心血管の形状があまり良くない人や中年の男性は特にそれが必要だ(調査によると、心停止の事例の86%は男性)。

「中年のランナーに是非留意してもらいたいことの1つは、マラソンは健康を保つ方法の1つには違いないが、必ずしも病気を防げるわけではないということだ」とバギッシュ氏は話す。

さらにボストングローブ紙の12日付けの記事によると、レースの参加者がゴール直後に最も発症しやすいのが心臓発作だ。心臓発作は通常プラークの破裂が関係しているが、必ずしも完全に心拍が停止するわけではない。

したがって、レースに参加する人は、心臓発作の症状にはどのようなものがあるかをあらかじめ確認し(例えば胸部や上半身の不快感、息切れ、吐き気、過剰発汗など)、そうした症状に注意する必要がある。

記者: Katherine Hobson

ウォールストリートジャーナル日本版 2012/1/13 より抜粋

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