2012年4月29日日曜日

見事に騙されてしまった京都のホテル ・ これを”ホテル業界用語”で「スキッパー」と呼ぶ


ホテルマンとして勤務した経験が長く、その間下の新聞記事に見るような犯罪手口はたくさん見てきた。

その中には全国の高級ホテルをまたにかけて騙し続けてきた札付きの詐欺師もいた。

こうした滞在費を支払わずにドロンする犯罪のことを、ホテルの専門用語では「スキッパー」と呼んでいる。

この種の犯罪者だが、普段は非常に人当たりがよく、発覚するまでは概してホテル従業員には好感をもたれている。もちろん好かれるように演じていくのが彼らのうまいところなのであるが。

今回の記事にある京都のホテルのケースでは、前回の宿泊時に30万円もの代金を現金で支払っている点だ。これですっかりホテルを信用させ、いわゆる上客とみなされるように伏線を張っているのである。

そのため今回の宿泊に際してはホテル側は無警戒で、滞在費の支払いについては何ら注意を払わなかったのである。

その結果周到に計画を立てていた犯人に見事に引っかかってしまい、150万円という驚くほど高額の滞在費を取りそこなったのである。

一般的に一流と呼ばれる高級ホテルでは、しっかりした予約がある客に対しては宿泊費は後払いが原則である。

しかし予約なしのフリーの客や、もしあったとしても連絡先が不明確であったり、チェックイン時に荷物を持ってない客に対しては例外的に前金をとることもある。

いうまでもなく、これはスキッパー防止対策である。

それにしても今回の犯人のホテルの利用の仕方は豪快である。

10数万円もするスィートルームに泊まり、そこで"舞妓の出前"を何度も利用するいう超デラックス振りである。その支払いもホテルの付けにしたため滞在費が高額になったものと思われる。

しかし、いかに前回の30万円の現金での支払いがあったとはいえ、その辺の不自然さを見抜けなかったのはホテル側のミスと言われても仕方がないだろう。

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舞妓遊びが忘れられず…豪遊150万円踏み倒す
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京都・祇園の高級ホテルに8連泊し、舞妓(まいこ)を呼ぶなど豪遊して飲食費など約150万円を踏み倒したとして、滋賀県警大津署は27日、谷野智行被告(34)(詐欺罪で起訴)を詐欺容疑で再逮捕した。

発表によると、谷野被告は3月20日から、京都・祇園のホテルで、1泊十数万円の部屋に滞在。ホテルのプランを利用し、毎晩のように舞妓を呼んでいたという。28日朝に「コーヒーを飲みに出る」と外出したまま行方をくらませた。
 
家出中だった谷野被告は、3月上旬、初めてこのホテルに連泊。この際、宿泊代など約30万円を現金で支払った。谷野被告は「金は使い果たしたが、舞妓を呼んでの遊びが忘れられず、もう一度泊まりたかった」と供述している。
 
谷野被告は今月2日、大津市の飲食店で約4000円分を無銭飲食したとして詐欺容疑で現行犯逮捕され、所持金は9円しかなかった。

(2012年4月27日23時45分 読売新聞)

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