2012年10月16日火曜日

ニューヨークのホテル ・ 誰も知らないウラ話(その5)


スタットラーヒルトン
(現ホテルペンシルベニア)
客室が2千室にも及ぶニューヨークの巨大ホテル

ニューヨークには客室が2000室近くもあるいわゆるマンモスホテルと呼ばれる巨大なホテルが数軒ある。

私がいたスタットラーヒルトン(現ホテルペンシルベニア)もその一つで確か部屋の数は1900ぐらいあったと思う。


これだけ客室数の多い規模の大きいホテルは日本のどこを探してもない。

しかし客室が2000ということは満員になったときには宿泊客だけで3000人ぐらいになるのである。

それだけの客を収容するともなると対応するホテルスタッフの仕事も大変である。


私が所属していたフロントオフィスは言うまでもなくこうした客のチェックインやチェックアウト、それにインフォメーションと呼ばれる各種案内業務などに当たるのだが、中でも最も手が掛かるのはチェックイン業務である。


どこのホテルでもそうだと思うが、チェックインというのは時間帯が決まっていてほとんどのところが午後4時以降になっている。したがってそれ以後の時間に予約客が殺到するのである。

最も多いのは午後7時~8時ごろの時間帯で、その頃になるとフロントのチェックインカウンターの前には長蛇の列ができる。

それも1列ではなく何列にも及び、対応するフロント係員の数だけ列が出来るのである。

通常この時間帯には他の時間帯より多目のスタッフが対応しており、曜日によって異なるがだいたい3名から5名が当たっていた。

ということは3名のときは3列の行列ができ、5名の時は5列なのである。

列の長さは時間帯によって違うが、最も混雑する7時半ぐらいだとその長さは1列15メートルぐらいに及ぶこともあった。


だが感心なことにそんなときでも客は文句一つ言わず列の中で静かに待っている。

要はアメリカ人は行列に慣れているのだ。だからこんなときにも文句も言わず行列に加わっているのだ。


でもこうした行列は何もホテルに限ったことではなく、例えば郵便局の窓口であったりイミグレーション(入国管理局)の窓口とかでも、いつ行っても長い人の列ができている。

こうしたことが起こるのは人件費の高いアメリカだけに従業員の数が限られていて、いわば万年人手不足という状態におかれているのである。


さてホテルのチェックインの行列に話を戻すが、そうした何列にも及ぶ客をすべてさばき終わるのに約2時間ぐらいかかり、フロント前の行列がなり、まるで戦場のようなけたたましさから解放されるのはいつも午後9時ごろであった。    


当時の私は二つのシフトで勤務についていた。つまり早出勤務と遅出勤務で、前者が8:00~16:00で後者が16:00~23:00であった。

 したがって遅出のシフトで働いているときはいつもこのチェックインの嵐にさらされるのである。    

でも早出のときでも程度の差こそあれすさましいほど多忙な時はある。   それはチェックアウトが集中する8時から9時ごろである。  

この時間帯にフロントに立っていると前から左右からとひっきりなしに客が鍵を返しに来てそれを受け取りキーボックスに収納するだけの単調な仕事にまるでコマネズミの如く右往左往と動き回るのである。  

身体を動かすことにおいてはチェックイン業務に当たるときの比ではない。  


そんなまるで戦場のようであったフロントオフィスの様子をいま懐かしく思い出している。

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