2012年10月4日木曜日

ニューヨークのホテル ・ 誰も知らないウラ話 (その1)



7番街の高級ホテル なんと従業員同士がロビーで決闘


ニューヨーク7番街
これは私が働いていたニューヨークのホテルでのことである。その日夕方4時に仕事を終えて帰途に着いた。


普段は客用スペースは使わないのだが、その日はどうしたことかロビーを通って外へと向かっていた。


客室数2000というニューヨーク屈指の大ホテルだけにそのロビーの広さは大変なものである。


その広いロビーを横切ってもう少しで玄関に着こうというときであった。玄関脇の片隅になにやら人だかりが出来ていた。


20名ぐらいいたであろうか、それらの人が輪を作って歓声をあげながら中を見つめているではないか。


いったいなんだろうあの騒ぎは? そう思ってとりあえずその輪に近づいてみた。

隙間から中をのぞくと、なんと二人の男がファイティングポーズをとって、今にも相手に殴りかからんばかりの様子でにらみ合ってるではないか。


その二人を見てアッと声が出た。二人とも知っている男である。でもどうしてあの二人がここで喧嘩を?


そう思ったがとっさには状況がよく飲み込めなかった。それもそうだろう。その二人というのはどちらもこのホテルの従業員であったのである。


一人は確かホテルの洗濯物を扱うランドリーという部署にいる男で、もう一人は客室清掃関係の男である。二人とも仕事中なのか作業服姿である。


でもどうしてその二人が客用スペースであるロビーで喧嘩なんかしているのだろう。それに回りを取り囲んでいるのはホテルの客らしい人ばかりではないか。


そんな人たちが二人の喧嘩を止めることもなく、逆に「レッツゴー」などと言ってけしかけているではないか。


私は随分不思議な光景を見る思いだった。


こんなことってあるだろうか。高級ホテルのロビーでの喧嘩はいいとしても、その当事者がホテルの従業員で、周りでけしかけているのがホテルの客というこの構図。

いったいこんことってあるのだろうか。日本では絶対にありえない。


でもアメリカではこんなことが現実にあるのだ。しかも誰もとめようとはしていない。すぐ近くのフロントオフィスにもベルキャプテンのデスクにも人はいる。


でも誰も出てきて止めようとする気配などない。それどころかみんな笑い顔で遠めに眺めているのである。


そんな光景を非常に不思議に思いながら、私はその場を離れた。従業員同士の喧嘩など見たくなかったし、場所が場所だけに客の手前もあり長居は出来なかった。


これもアメリカで体験した大きなカルチャーショックの一つである。

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