2012年11月19日月曜日

いまこのシリーズ記事がおもしろい ・ msn産経ニュース[衝撃事件の核心]



11月3日にもこのブログに「生涯現役大はやり、この世界でも健在です ・ ナイスバディーの売春婦は73歳」というタイトルでこのシリーズ記事の一つを載せたが

事件をテーマにした「msn産経ニュース」このシリーズはユニークさとおもしろさで出色の記事である。

本日ご紹介する記事も最近の事件をテーマにしたそのシリーズのひとつである。

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「ナンパ」が生き甲斐だった・一人芝居で振り込め詐欺を重ねた中年男の“裏の顔”
2012.11.17 msn産経ニュース


息子や会社の上司など複数の人物を一人で演じて振り込め詐欺を行っていたのは、見た目はさえない一人の中年男だった-。

高齢女性から現金をだまし取ったとして、今月5日、詐欺容疑で警視庁捜査2課に再逮捕された東京都世田谷区赤堤、無職、黒田丞(すすむ)被告(54)=別の詐欺未遂罪で起訴。
通常、グループで役割分担する振り込め詐欺だが、電話をかける「架け子」や現金を受け取る「受け子」などをすべて一人でこなしていた。それだけ話術に自信を持っていた黒田容疑者の仮面の下には、もう一つの顔が隠されていた。(太田明広)


「作家」の名刺、イタリア製スーツ…「すぐに女性を落とせる」

 眼下に都心の絶景が広がる有名ホテルの高層階にあるダイニングバー。イタリア製の高級ブランドのスーツで着飾った男が、カウンターに一人で座り、酒を飲んでいる女性におもむろに名刺を差し出した。

 「作家 黒田丞」はこう自己紹介したが、実際には作家でもなんでもなく、無職の黒田容疑者だった。スーツのほかにネクタイやベルトもブランド品で固め、名刺には妻子と暮らす世田谷区内の自宅の住所や電話番号をそのまま載せていた。

「口がうまいから女性をすぐに口説き落とせる」

捜査2課に振り込め詐欺容疑で逮捕され、悪びれずにこう言い放った黒田容疑者。動機の一つにも「ナンパ」を挙げた。捜査関係者は「見た目はどこにでもいる50代の男。決して女性にモテる感じではない」と言って驚きを隠さない。

別の捜査幹部は「年の功がなせる技」と話し、“詐欺師”としての黒田容疑者の振る舞いに舌を巻く。被害者には現金だけでなく必ず菓子折りを持ってこさせたといい、「被害者にわびさせることで、自分に疑いの目を向けさせなくする狙いがあったのだろう」。

また、現金受け取りの場には高級ブランドのスーツではなく、大手の衣料品店で購入したカジュアルな服で出かけた。「カネを受け取ったらすぐに服を捨てるため、安物で良かったようだ」(捜査関係者)。ブランド品はあくまでナンパの道具というわけだ。

「架け子」や「受け子」といった複数の役割を一人でこなすため、電話の声にも気を配っていた。被害者が60~70代の女性であれば、必然的に30代ぐらいの息子を装うことになるため、普段より高めの声色を使っていたという。


「マニュアル」参考に独学…有名高校OBを標的に

話術に自信があったとはいえ、黒田容疑者はなぜ、一人芝居をするようになったのか。さかのぼると、振り込め詐欺グループの一員だった時期もあった。

捜査関係者によると、平成17年に経営していた衣料品の卸会社が倒産し、後学のために顔を出した栄養補助食品の講習会で、ヤミ金融業者の男と出会った。その男から渡されたのが、「振り込め塾マニュアル」と呼ばれる冊子だった。

そこには会社のカネを使い込んだり、交通事故の示談金の支払いを迫られたりしているのを装い、高齢女性をだます手口が並んでいた。黒田容疑者は間もなくノルマの厳しさに耐えかねて逃げ出したが、マニュアルを参考に独学で手口を磨き上げていったという。

そして、18年4月ごろに新たに振り込め詐欺グループを作ったが、仲間が逮捕されたために解散。19年8月ごろからは一人で何役もこなすようになった。黒田容疑者が標的にしたのは、都内の有名高校の卒業生だった。黒田容疑者は理由をこう供述している。

「有名高校に子供を入学させる親は、教育費をかなりかけているだろうから、カネに余裕があるはずだ。子供も成長して、立派な職種や企業に勤めている可能性が高い。子供の不祥事があれば、親がケツを拭いてくれると思った」

 “職場”でもあった自宅からは、名簿店で購入したという同窓会名簿16冊や携帯電話約20台が見つかった。


年収2000万円? 妻、絶句「パチンコで稼いでいると…」

黒田容疑者が一人芝居の振り込め詐欺を始めてからちょうど5年。幕切れは突然、訪れた。

今年8月30日。渋谷区の60代の女性宅に一本の電話がかかってきた。息子を名乗り、「会社の上司から496万円を借りて、今日中に返さなくてはいけない」「カネ、用意できた? 部長に渡してほしい」という内容だった。

女性は待ち合わせに指定された同区道玄坂の路上に向かった。そこに、黒田容疑者が現れ、女性から現金を受け取った瞬間、近くに身を潜めていた捜査員らに取り押さえられた。女性は電話の声を不審に思い、渋谷署に通報していた。

詐欺未遂容疑で逮捕された直後、黒田容疑者は「自分はただの受け子だ」と言い張った。ただ、自宅から名簿などが出てきて追及されると、「実は…」と一人芝居だったことを認めた。その後ものらりくらりと言い逃れをしようとしたが、捜査2課は物証を突きつけ、うそを暴いた。

5月に同様の手口で、埼玉県富士見市の女性(71)から500万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で再逮捕。これまでに17人から約4300万円をだまし取ったことが確認された。黒田容疑者は「5年間で1億円ぐらいやった」と供述しており、捜査2課が裏付けを進めている。

黒田容疑者の自宅は、小田急小田原線豪徳寺駅近くの閑静な住宅街にある借家だった。家賃は月20万円。捜査関係者は「単純計算で年間2000万円ぐらい稼ぎ、しかも所得税を払わないのだから、優雅な生活を送っていたのだろう」とうらやむ。


「夫はパチンコで稼いでいると思っていた」

事件後、捜査員から真相を知らされた妻は絶句したという。家族にも“仕事”を明かしていなかった黒田容疑者。振り込め詐欺の被害者だけでなく、妻子さえも欺いていた代償はあまりにも大きい。

2012.11.17 msn産経ニュース



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