2013年9月9日月曜日

このグラフに注目!意外に少ない米国の乗用車普及台数 ・ 乗用車の普及率 国際比較




米国の乗用車が少ない理由は?

「世界でもっとも乗用車の普及している国は?」と聞けば、おそらく「アメリカ」と答える人が圧倒的に多いのではないだろうか。


ところが意外なこともあるものだ。上のグラフによれば、なんとアメリカは世界の中位でしかない。 これはにわかには信じがたいことである。


アメリカといえば世界一の自動車大国で、自動車と聞けば人々の頭にはすぐGMとかフォード、あるいはクライスラーなどの名前が浮かぶのではあるまいか。


なのになぜなのだろう。この理由を述べるためには米国民が所有する車の種類について言及しなければならない。


皆さんはタッドサンという車をご存知だろうか。日産の超ロングセラーの車である。


そのダットサンであるが、あの車ははたして乗用車だろうか、それともトラックだろうか?


こう聞けば、あなたははたしてどう答えるだろうか。


おそらくトラックと答える人が多いに違いない。だがそう言いきってしまっていいのだろうか。


確かに形状からすると乗用車ではない。でもトラックと言い切ってしまうのも少し乱暴である。


ピックアップトラック
正式にはピックアップトラックと呼ぶのだが、所有者の使用目的は決して荷物運搬用のトラックにするためではなく、

多くの所有者はセダンなどと同じように人を運ぶための乗用車と考えているのではないだろうか。


たまたま後ろに荷台があることでその形状からトラックと捉えられるのだが、所有者は決してそうは考えていないのである。


つまり荷台はアクセサリーのようなものであり、荷物運搬のためのスペースとは考えていないのではある。


現にアメリカでのこの車の所有者はどちらかというと若年層に多く、多くの場合、所有の目的は遊び用と捉えているのである。


アメリカだけではない。タイなどではこの車は高級乗用車と考えられており、トラックとしての商用車と考える人は少ない。


米国ではこのピックアップトラックの普及率は世界一であり、車の台数の多くを占めている。したがってこのピックアップが乗用車の数にはいらないため、今回のようなデータになるのである。


もしこのピックアップトラックを乗用車と捉えると、米国が上位に上がってくることは間違いない。

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乗用車普及台数の国際比較(2011年)

世界各国でクルマ社会がどれだけ進展しているかの指標として人口100人当たりの乗用車保有台数(以下、乗用車普及率と呼ぶ)を掲げた。

 まず、目立っているのは、先進国においては、乗用車普及率のレベルには、それほど、差がないという点である。先進国の中では最大はイタリアが61.1台であり、最小は、意外なことに、米国の40.9台(後述)である。しかし、ほとんどは、45~55台の範囲に収まっている。

 これに対し、最近、OECDに加盟して先進国の仲間入りした韓国や体制移行国のロシアが20台台となお低い水準であるほか、アジア新興国や途上国ではそれ以下の水準であり、先進国以外では、乗用車普及率の差がかなり大きい。

 こうした特徴から、乗用車というものは、先進国においては、生活必需品としての性格が強い存在になっているということができよう。

 米国の乗用車普及率が低いのは、米国ではバス・トラックの保有台数が乗用車と同じぐらいの水準であり、他の先進国が何分の1かの水準であるのと比較して格段に多いところを見ると、乗用車として使用されるトラック(税金や保険料の面で優遇されているピックアップトラック、SUV等小型トラック)の台数が多いためと見られる。

ピックアップトラックとSUVを加えた乗用車普及率を求めてみると、59.6台となり、間違いなく世界一クラスのクルマ大国となる。

 タイ、インドネシア、中国、インドなどアジア新興国では、なお乗用車普及率が10台以下と低い。人口規模が大きいだけに、アジア新興国の市場の今後の伸びが期待されているゆえんであろう。

 次に、乗用車普及率とクルマ関連犯罪(自動車泥棒、車上荒らし)の被害率との相関を見た図を以下に掲げた。オートバイや自転車と異なり、相関度は低いように見える。

オートバイや自転車と異なり、自動車の場合は、そこにあるから盗むというものではないようだ。ただし、英国が保有率の割に犯罪が多い傾向はオートバイと共通であり、メキシコが保有率の割に犯罪が多い傾向は自転車と共通である。


社会実情データ図録より

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