2014年8月16日土曜日

T.Ohhira エンターテイメントワールド(第34回) ・ 小説 「マンハッタン西97丁目」 第4章・すばらしき1週間(その7)



マンハッタン西97丁目 第4章 「すばらしき1週間」 (その7) 

 リビングへ戻ったとき、バーマの姿が見えなかった。まだ自分の部屋へ戻って休む様子でもなかったし、はてどうしたのかな?

 右手がまたテーブルのグラスに行きかけたが、鏡に映った赤ら顔を思い出して途中で手を引っ込めた。

 バーマを探そうとソファから腰を上げたちょうどそのとき、修一の部屋の方からミシッというようなベッドのきしむ音がした。オヤッと思ったが深く考える余裕もないまま自分の部屋のドアを開けた。真っ暗な部屋の中にリビングの明かりが線になって飛び込んだが、左端のベッドの位置までその光は届いていなかった。

 でも薄明かりの中に、真ん中からこんもり盛り上がっている毛布がかろうじて見えた。

 修一はそのときはじめてベッドの中にバーマがいるのが分かった。 またしても胸の鼓動が速まった。ついに待っていたときがやってきたのだ。

 「なんだバーマ、ここにいたのか。びっくりしたなあ」
 修一は上ずった声でやっとそれだけ言った。

 「ごめんねサミー、あなたのベッドを占領しちゃって、わたし少し酔ったみたい。
 でも、なぜだか自分の部屋へは戻らずこちらへ来てしまったみたい。いい?」

 悪いわけがない。これこそ待ち望んでいたことなのだ。修一はバーマにそう伝えたかったが、その言葉は口から出てこなかった。そのかわりに、ただ「バーマ」とだけ呼んで、ベッドの横へ膝まづいた。

 彼女は修一の方へグルッと寝返りを打つと、これまでの聴いた事もないような甘い声で「サミー」と呼び返してきた。

 目の下に彼女の肉付きのいい唇があった。 修一は黙ってそれに自分の唇を重ねた。
 バーマは待っていたように修一の首に両手を回すと強い力で唇を吸い返してきた。
 修一も身体を倒してそれに応じ、今度は一層強く吸った。

 しばらくの間、二人は貪るようにお互いの口を吸いあった。

 修一の口の中をバーマの甘い唾液の香が覆ったとき、「サミー、はやくここへ来て私を抱いて」バーマが耳元で囁いた。それを聞き、修一はかなぐり捨てるように着ているものを脱ぐと、脱兎のごとくベッドの中へ飛び込んでいった。

 バーマはすでに身体に何もつけていなかった。普段の彼女からしてこの大胆さには驚かされた。さすがに日本女性とは違うな、修一は頭の隅でチラッとそう思って、すぐまた先ほどより激しく彼女の唇を吸った。

 長いくちづけの後、修一はやっと唇を離すと、今度は右手で彼女の胸をまさぐった。そこには手のひらでは覆いきれないほどの豊かな乳房が脈打っていた。

 柔らかで、かつ弾力的な心地よい感触が手のひらを伝わってビリッと全身を貫いた。 「バーマ、好きだよ」修一が耳元です囁くと、それに応じるように彼女は両手を修一の背中に回して一層激しく抱きついてきた。

 修一の胸をゴムマリのような二つの乳房が強く圧迫し、感触がピリリと下半身に伝わった。

 修一が身体をずらしてピンク色の乳首へ唇を当てたとき、バーマは「ウッ」と、うめき声を洩らして身体を大きくのけぞらせた。修一は何度も何度も舌の先で彼女の硬くなった乳首をもてあそんだ。そしてさらに顔を下の方へ移動させてとき、ふいに干草のような匂いが漂ってきた。実のところ修一は過去に干草の匂いなど嗅いだ経験はなかった。でもそのときはなぜか、これが干草の匂いに違いない、と思ったのだ。修一のその行為にバーマは激しくあえいだ。そして連続的なうめき声を上げながら、両手でギュッとシーツをの端を握りしめていた。

 「サミーおねがい!」バーマの感極まった声で修一が屹立した下半身をあてがったとき、彼女はさらに大きく呻きながら両腕に渾身の力を込めて修一の身体を引き寄せた。修一は次第に深く自身を彼女の中に埋没させていくと、めくるめく快感からそこで一気に果ててしまいそうになったが、「バーマ、少し動きを止めて!」そう言ってかろうじて踏み止まった。

 修一はニューヨークへ来て以来白人女性とのセックスとはいったいどんなものなんだろうか?と、ずっと想像していた。日本女性とはどう反応が違うのだろうか?ポルノ映画で見るように、あれほど激しいものなのだろうか? 感極まったときに発する声はどういった表現なのだろうか?俗に男ずれした女性が発するという、あの「アイム、カミング」という言葉は本当に使うのだろう。

 そうした諸々の疑問に対する答えはまさにこのとき出ようとしていた。

 バーマは最後の瞬間が来たとき、セリフこそ発しなかったものの、うめき声の大きさと身体の動かし方は、これまで修一が接してきた日本人女性にはあまりない激しいものであった。よく酒席などの男同士が交わす猥談で、「白人女性は身体が大きいので大味だ」などと言うことを聞いたりするが、どうもその信憑性は疑わしく、彼女にしても、まったくそういうことはなく、その反応は必ずしも身体の大きさに比例するものではないと思った。

 でもこれはこれまでの彼女の男性経験が少ないからかもしれない。修一は果てた後もしばらくバーマの乳房に顔をうずめて、そんなことを考えていた。

 少したって顔を最初の頭の位置に戻すと、もう一度軽く唇を合わせた。

(つづく)次回  8月17日(日)


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