2015年10月21日水曜日

ノーベル賞連続受賞で頭に乗ってはいけない ・日本が西欧に遅れている分野はまだこんなにある


日本は本当に科学技術大国か?

最近メディアに採り上げられた下の2件の記事を読んで、なんとなく腑に落ちない思いになったのは、おそらく私だけではないでしょう。
 
そんな気になったのは、たぶんこのところ毎年のようにう日本の科学者がノーベル賞を受賞していることもあって、今や日本が世界に冠たる科学先進国である、という思いが以前よりうんと強くなっているからかもしれません。
 
つまり日本は今や米国に次ぐ科学技術先進国で、もはやヨーロッパの国々は敵ではない、と思い始めているのです。
 
そんな矢先に二つの記事を読んだのです。
 
ひとつは日本では最近になってようやく実現しつつある電力自由化を、イギリスはなんと1990年に成し遂げていると言うのです。これは驚きです。
 
1990年と言えば今から25年も前です。これが事実なら日本は電力自由化でイギリスに25年も遅れてをとっていることになります。
 
人々にとって最重要なライフラインである電力分野でイギリスと比べてこれほどの遅れがあるとは驚きです。
 
しかしこうした事実を国民は知っていたのでしょうか。おそらく答えはノーでしょう。
 
日頃から技術大国を標榜している日本がアメリカならともかく、日本より小国のイギリスに負けているなどとは、おそらく誰も思っていなかったのではないでしょうか。しかも25年もの遅れがあるなどと、誰が想像できるでしょう。
 

もうひとつはドイツの電子書籍の大躍進です。
 
記事によれば、ドイツの電子書籍が、あの有名な米国のキンドルを抜いたと報道されているではないですか。
 
電子書籍といえばネットを通して人が読む本です。それがキンドルを抜いたとなると、ドイツ人がそれほど本をよく読むことになります。
 
一方日本はどうでしょうか。通勤電車でスマートフォンを見ている人は多いのですが、そのうちどれほどが電子書籍を読んでいるかとなると、決してドイツほどではないでしょう。
 
つまり、日本人はドイツ人に比べるととネットで本を読む人はうんと少ないのではないでしょうか。
 
したがって電子書籍の分野でもドイツに大きく差をつけられているのに違いありません。
 
この様子だと、イギリス、ドイツが日本を凌いでいる分野は、他にもたくさんあるのではないでしょうか。
 
日本人はこの事実を直視し、巻き返しを図らなければなりません。ノーベル賞で浮かれている場合ではないのです。

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電力自由化・イギリスの先例から日本が学ぶべき教訓

イギリスでは、1990年の電力自由化開始以来採用されてきた「強制プール制」がうまく機能せず、電気料金は高止まり傾向でした。ただし、逆にそのことが企業の新規参入を促し競争条件の整備につながったということもあり、新電力取引制度のNETA の導入が発表された1998年から2002年までに電気の卸売価格は40%下落し、電力自由化による成果とされています。

しかし、2004年頃からは卸売価格の上昇とともに小売価格も上昇傾向にあり、2004年と比較すると現在の電気料金は約2倍になっています。電気料金の内訳は国によって大きく異なり、イギリスの場合は発電に関わるコストの比率がおよそ3分の2程度と高くなっています。そのため、発電に関わる燃料費の変動の影響を大きく受けます。

価格上昇の理由としては、燃料として使われる比率の高い天然ガスの高騰があげられますが、他にも、利益を追求するあまりインフラなど大型の新規投資が遅れて供給能力が低下したり、二酸化炭素削減目標達成や再生可能エネルギー導入による発電コストなどのいわゆる「環境コスト」の増加も見逃せません。

こうした状況を受けて、電力市場の自由化について様々な議論がありますが、イギリスでは、改革を進めなければさらに価格は上がってしまうという危機感があり、新たな電力市場改革を進めようとしています。日本においても、こうしたイギリスの教訓を活かし、しっかりした制度設計に基づく自由化を行っていくことが求められています。
(出典) 価格コム・電気料金


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キンドル抜いたドイツの電子書籍 

日本の電子書籍市場は、参入ストアが100を超える乱立状態で、多くの会社は赤字が続いている。一方、ドイツでは、書店大手4社が合同で立ち上げた電子書籍ブランド「tolino(トリノ)」が、サービス開始から1年余りでアマゾンの「キンドル」のシェアを抜いた。共通ブランドの導入は日本でも可能なのか。ドイツの“成功例”に注目が集まっている。

 「少し前なら、ライバル書店同士が連携するなんて考えられなかった。でも、競争しなければいけない相手はアマゾン。共通の敵がいることが、私たちの『糊(のり)』になった」
 6月末のベルリン。国内2位の老舗書店「フーゲンドゥーベル」のニナ・フーゲンドゥーベル社長はそう語った。日本雑誌協会や日本書店商業組合連合会など出版関連の業界団体で作る「日本出版インフラセンター」と業界紙「文化通信」が企画した視察ツアー。出版社や書店の幹部約20人がメモを取りながら耳を傾けた。

 トリノが扱う電子書籍は書店などで販売する専用端末「トリノ」やタブレットで読むことができる。端末は自由価格で、ほとんどの書店は1銭の利益も上がらない値段をつけて売っている。利用者は、端末を購入した書店のページを通じて電子書籍を購入。各書店には自社のページ経由で売れた商品の売り上げの一部が還元される。書店にとっては、端末を販売することで顧客を囲い込める仕組みだ。

 フーゲンドゥーベルは他の書店大手「タリア」「ウィルトビルト」とともに開発段階からトリノに関わった。それまで自社の独自端末を持っていた書店もあったが、いずれも成功していなかった。フーゲンドゥーベル社内にはライバル書店と協力することに反対の声はあったが、「書店の未来は電子書籍にしかない」と説得したという。
ベルリン=守真弓
   
(出典) 朝日新聞電子版 20151016






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