2016年9月18日日曜日

芥川賞受賞の「コンビニ人間」 村田紗耶香著 は久々に良い作品だった



昨年の芥川賞「火花」では失望したが

文芸春秋9月号で芥川賞受賞作品の「コンビニ人間」を読みました。

昨年の又吉直樹の「火花」で失望したこともあって、「本当に良い作品なのか?」と、読む前は期待と不安が半々でした。

最初の3~4ページまで読み進んだ段階では、はっきり言って「この作品もたいしたことないか?」と、半分ぐらいは失望の気持ちでした。

ところが、それを過ぎると次第に惹きつけられていき、読むのが楽しくなり、先の展開が待ち遠しく感じてきました。

同時に、「この作家はただものではない」、というような、著者・村田紗耶香さんへの尊敬の念が生まれてきました。

コンビニをテーマにしたこれほど優れた作品は、コンビニのアルバイトを18年も続けた作者にしか書けない、と思ったからです。

内容はコンビニの仕事の内容、スタッフの人間模様、コンビニ以外の交友関係、それに家族のことや主人公の日常生活をつづったもので、決してストーリー性が豊かなものではなく

場合によっては読み手の退屈を誘いかねないテーマなのですが、この作者が取り上げると、単調なルーティンワークであるコンビニの仕事が実に生き生きとして輝いて見えるのです。

それに人間模様にしても、店長をはじめ、スタッフはひっきりなしに代わっていき、定着する人の少ない中で、特定の人に対しては、鋭い観察力と説得力のある文章で、人間性を魅力的につづっています。


また、小説らしい意外性も取り入れており、このコンビニの嫌われ者である一人の男性スタッフについては、嫌悪の気持ちを抱きながらも、特別の関心を示して、その後私生活にまで及ぶほど深く関わっていく展開は見事です。

このあたりは、”変人を標榜する”  主人公の面目躍如たるところではないでしょうか。

作家だから当然のことかもしれませんが、著者はまだ30代という若い女性なのに、その鋭い人間観察力に、強く引き付けられました。

この作品についての選考委員の選評を読んでみますと、昨年の「火花」のときは、選考委員の半分ぐらいしか推薦していなかったのですが

今回の「コンビニ人間」は、ほぼ全員の人が「優れた作品である」と、受賞を認めています。

2016年9月11日日曜日

久しぶりに座右の銘にしたいような名言に出あった

好きな言葉が一つ増えて3つになった

本を読んでいると、時々ハッとする言葉に出会うことがあります。

そんな時は覚えておかなければ、思うのですが、メモを怠り、気が付いたら忘れてしまっていることがよくあります。

シマッタと思い、思い出そうとするのですが、いくら考えても記憶はよみがえりません。

そんな時ほどメモの大切さが身に染みて分かります。

でも今でもかろうじて記憶に残っている言葉が二つあります。

二つとも随分前に出あった言葉ですが、忘れることなく、今では座右の銘とも言っていいものになっています。

その一つは「彼を知り、己を知れば百選危うからず」という孫子の兵法という書に出てくる一説で

戦争に限らず、ビジネスなどの戦いの場でもよく引き合いに出されることもあり、今ではポピュラーな言葉として広く知られています。

でも知られているのは最初の「彼を知り、己を知れば百戦危うからず」の部分だけで

その後に続く部分はあまり知られていません。実はこの言葉には続きがあり、全文は次のようになります。

「彼を知り、己を知れば百選危うからず、彼を知らず己を知れば一勝一負し、彼を知らずして己を知らざれば、戦うごとに必ず危うし」

この全文に接したときは、まったくそのとおりだと、いたく感心して、今後はこの言葉を「座右の銘」にしようと決めたのです。

さてもう一つの言葉ですが、こちらの方はポピュラーなものではなく、座右の銘にしている人が他にいるかどうかは疑問です。

その言葉とは今は亡き吉行淳之介という作家が、エッセイの中に書いていた言葉です。それは

「何でも知っている人より、なんでも分かる人の方が好きだ」

というものです。

これだけの短いフレーズですが、なかなか含蓄のある言葉だと思いました。

私流に解釈しますと、人には物知り顔でさも何でも知っているというかの如く、知識をひけらかす人がいるが、わたしはそんな人は苦手です。

反対に口数は少なくても、こちらが話すことはどんなことでも良く理解してくれる人は好感が持てる。というふうになります。

作家吉行淳之介のこうした価値観が好きで、忘れずに今日まで覚えてきた訳です。

それ以後人に好きな言葉を言え、と言われたとき、とっさに思いつくのはこの二つです。

その二つに最近もう一つの言葉が加わりました。

今度の言葉は絶対に忘れてはいけないと、その場で大きな文字でパソコンに打ち込みコピーを取りました。

その言葉は米国のサミュエル・ウルマンという詩人が著書「青春の詩」に書いた次のような言葉で、

「人は歳を重ねるだけで老いるのではなく、理想を失うときに初めて老いがくる」

というものです。

この言葉は接した人の年齢のよって理解は異なるでしょうか、少なくても高齢者に属する人々にとっては、ズシッと重みを感じる言葉ではないでしょうか。

特に心身ともにいつまでも若くありたいと願っている人たちにとっては、まさに的を得た名言と言えるのではないでしょうか。

こううした訳で私の座右の銘が前述の二つに加えてもう一つ増えたのです


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2016年9月1日木曜日

”日本より10年遅れ”は過去のこと ・ 韓国はすでに日本に追いついている



サムスン本社
韓国大企業社員の平均給与が月425000円にも!

日本はアメリカより10年遅れており、韓国は日本より10年遅れている。

これは今から10年ぐらい前まではよく言われていたことです。

では現在もこれは当てはまるでしょうか。

この問いに対しては半分は当たっていて、もう半分は外れている、というのが正解です。

つまり日本がアメリカに10年遅れているのは、今もそのままですが、韓国が日本より10年遅れている、という点は今では当てはまらなくなっているからです。

日本はこれまで長い間、日米韓3国の経済や科学技術などを比較して、米国よりは負けていても韓国よりは進んでいる、と韓国に対して優越感を抱いていました。

ところがどうでしょう。2016年のいま同じように比較してみますと、米国に対する遅れは依然として続いており、10年遅れはそのままどころか、ITをはじめ、分野によっては遅れ幅は10年以上に広がっているのではないでしょうか。

一方以前は10年遅れと言われていた韓国はどうでしょうか。

米国に対する日本のように、依然として10年遅れは続いているのでしょうか。

これに対してははっきりノーと答えることができます。

韓国は2000年代に入って目覚ましく進歩しており、こと経済面においては日本との差を急速に縮めてきました。

韓国には世界一のIT企業がある

それは次のことにもよく現れています。今ではサムスンの名前を知らない人はないと思いますが、なんとこの企業はIT分野ではアメリカのヒューレットパッカード社を抜いて今や世界一の企業になっているのです。

今では日本が長い間世界に誇っていたIT企業のソニーやパナソニックなどをあっという間に抜き去ってしまったのです。

サムスンだけでなく、韓国産業が日本を上回っている分野は他にも多くあります。

これで分かるように、最近における企業の成長性では韓国企業は日本企業を上回っているのです。

先ごろシャープが台湾の会社に吸収されましたが、近い将来、韓国の会社が日本の会社を吸収することも十分考えられます。

でも本日ここで取り上げるのは、そのことではなく、韓国が経済の面で日本に追いついたことを証明する身近で具体的な話題です。

おそらく日本の多くの人は、今でも韓国のサラリーマンの給料は日本よりはるかに低いと思っているのではないでしょうか。

その額を具体的に言いますと、多くても日本の3分の2くらいというのが、ほとんどの人の考えであるに違いありません。

ところがどうでしょう。

昨日の朝鮮日報に記事によりますと、韓国の大企業の平均給与は、なんと42万5千円にも達しているではないですか。

これは驚きです。これだと日本の3分の2どころか、ほぼ日本並みと言ってもいい水準に達しています。

これが本当だとすると、圧倒的多数を占める日本の中小企業のサラリーマンのほとんどが、この給料以下ということになるのです。

これで分かる通り、韓国が日本より遅れているというのはすでに過去のことなのです。

韓国は、こと経済面に関しては、もはや日本に遅れてはいないのです。

私たち日本人はこのことに早く気付かなければいけません。

でないと近い将来、韓国に抜き去られてしまうかもしれません。

以下の記事は韓国大企業社員の給料について、韓国の代表的な新聞・朝鮮日報に載せられたものです。


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韓国大企業社員の6月平均月給425000円、7年ぶりにマイナス

韓国雇用労働部(省に相当)が30日発表した「月別事業体労働力調査」の結果によると、従業員300人以上の大企業の6月の1人当たり平均賃金総額が4626000ウォン(約425000円)となり、前年同月(4657000ウォン)を31000ウォン(0.7%)下回った。

世界的な金融危機で韓国も不況に陥った2009以来7年ぶりの減少で、不況が賃金に直接影響を与え始めた格好だ。 

減少は電子部品・コンピューター・映像音響・通信設備製造業(11.4%減)、その他輸送設備製造業(8.1%減)が主導した。その他業種は12%のマイナスだった。

 両業種は最近の半導体不況、造船業の構造調整などによる受注不足で従業員の労働時間が減り、時間外手当などの支給額が減少した。

 雇用労働部関係者は「09年以降、労使による賃金交渉遅延などで賃上げ分が別の月に繰り越されたことによる減少は12回あったが、今年6月のように景気悪化で賃金総額が減るのは初めてだ」と指摘した。

朝鮮日報 2016年8月31日